名古屋高等裁判所 昭和24年(控)367号 判決 1950年3月30日
被告人
靑木掃部
主文
本件上告を棄却する。
理由
弁護人大橋茹の上告趣意の要旨は、原判決には、理由不備並に判例違反の違法がある。即ち被告人が買受けた硫酸アンモニヤが肥料配給規則に所謂肥料であるかどうかについては、同規則第一条並に肥料取締法第一条及び同法施行規則に則り、事実を確定し各法令の適用を示さなければならないというにある(中略)
肥料配給規則によつて統制せられている肥料であるかどうかは事実認定の問題で、証拠によつてこれを確定しなければならないものであるが、原審は証拠によつて、被告人が讓り受けた肥料は、硫酸アンモニヤであると認定し、肥料配給規則第二十一条第一項臨時物資需給調整法第一条第一項、第四条第一項を適用して、処断しているのである。而して硫酸アンモニヤが統制せられている肥料であることは、肥料配給規則第一条によつて定むるところであるが、判決において示さねばならない法令の適用は、処罰規定だけであつて、硫酸アンモニヤが統制物資であることの根拠となる法令までも掲げる必要はない。(中略)論旨は理由がない。